シマノ新ロードペダルプラットフォーム「SPD-SLR」徹底解説
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2026年9月17日(木)日本時間16時、シマノからロードバイク用の新しいペダルプラットフォーム「SPD-SLR(エスピーディー・エスエルアール)」が正式発表されました。
今回の発表は単なる新型ペダルの追加ではなく、シューズ・ペダル・クリートの3点を「ひとつのシステム」として再設計したという、シマノとしてもかなり大掛かりなモデルチェンジです。
この記事では、日本国内向けプレスリリースの内容を余すところなく解説しつつ、発表前から海外メディアが伝えていた1年越しのリーク・噂の経緯まで含めて、現時点で日本語で読める最も詳しい内容としてまとめました。
この記事の内容
- SPD-SLRは実は1年前から噂されていた(海外の経緯まとめ)
- SPD-SLRの設計思想と3つの技術ポイント
- DURA-ACE PD-R9300 / ULTEGRA PD-R8200 徹底解説
- 新型S-PHYRE SH-RC910 / SH-RC810 シューズ解説
- 新型クリート4種(CL-SL100/110/120/130)の違い
- 互換性の重要な注意点(既存のSPD-SLとは互換なし)
- 価格・発売情報まとめ
実は1年越しの噂だった? SPD-SLRをめぐる海外の経緯
今回の「SPD-SLR」、実はここ1年ほど海外の自転車メディアで何度も話題に上っていた"噂の新型ペダル"でした。
国内のプレスリリースだけを読んでもわからない、発表に至るまでの流れを時系列で整理します。
2025年3月:商標出願で名称が浮上
海外メディアBikeRadarの報道によると、シマノは2025年3月25日に米国特許商標庁(USPTO)へ「SPD-SLR」の商標を出願していたことが判明していました。
この出願範囲には「パワーメーターを内蔵したペダル」という記述も含まれていたため、当初は海外メディアの間で「SPD-SLRはパワーメーター一体型ペダルではないか」という推測も飛び交っていました。
2026年4月:パリ〜ルーベでの"事件"が新クリートの存在を裏付け
今年4月のパリ〜ルーベでは、マチュー・ファンデルポール選手がメカトラブルでチームメイトのバイクに乗り換えようとした際、クリートがうまくペダルに嵌らずスタートに手間取るという場面がありました。
チームメイトの機材が"シマノの試作ペダル・クリート"だったことから、海外メディアは「新型ペダルは現行のSPD-SLクリートと形状が異なり、互換性がないのでは」と分析。
実際、今回の正式発表でこの互換性のなさが裏付けられる形になりました(詳しくは後述の互換性の章で解説します)。
2026年9月14日:発表のわずか3日前、Instagramに実機画像が流出
そして発表直前の9月14日には、海外の自転車ショップのInstagram投稿(後に削除)から、「PD-R9300」とパッケージに書かれた次期DURA-ACEペダルの実機と思われる画像が流出。
road.ccの報道では、この投稿のキャプションに「スタックハイトが12.5mmまで下がる」という趣旨の記述があったと伝えられていました。
現行のDURA-ACE PD-R9100(SPD-SL)のスタックハイトは14.6mmと海外の販売サイトで公表されているため、今回の公式資料にある「2.3mm低減」という数値をそのまま当てはめると、新型は約12.3mm前後になる計算です。
これは流出情報の「12.5mm」とほぼ一致しており、直前リークの精度の高さがうかがえます。
※上記の12.3mmという数値は、海外小売サイトに掲載された現行PD-R9100のスタックハイト(14.6mm)と、今回の公式リリースに記載された「2.3mm低減」という情報をもとにした試算値であり、シマノ公式が新型の絶対値としてアナウンスした数値ではない点にご注意ください。
SPD-SLRとは何か? 3つの技術ポイント
シマノは「最高のパフォーマンスは製品単独の性能ではなく、すべてのパーツが連携し機能することによって生まれる」という考えのもと、S-PHYREシューズ・DURA-ACE/ULTEGRAペダル・新型クリートを一体型プラットフォームとして開発したとしています。
単に個々の製品を再設計するのではなく、「シューズ→クリート→ペダル→バイク」という力の伝達経路すべてを見直したというのが、今回のSPD-SLRの最大の特徴です。

①スタックハイトを2.3mm低減
SPD-SLRの中核となるのが、新しいクリートとペダルのインターフェースです。
ペダルプラットフォームとクリートの両方を再設計することで、スタックハイトを2.3mm低減。
ライダーの足をペダル軸へさらに近づけることで、より安定したペダリングプラットフォームとなり、パワー伝達が向上するとしています。
ヒルクライム・スプリント・高速巡航などあらゆるシーンでバイクコントロール性を高める効果があるとのことです。
②エンゲージメント角度を15.5°→10.5°に縮小

クリートをペダルにステップインする際の嵌合角度(エンゲージメント角度)を、従来のSPD-SLの15.5°から10.5°へと狭めました。
同時にキャッチゾーン(引っかかる範囲)自体は広く取ることで、より迅速でスムーズなステップインを実現しているとのことです。
③クリートを最大22%軽量化

再設計されたSPD-SLR専用クリートは、レースでの耐久性を維持しながら、現行のSPD-SLクリート(SM-SH12・71g)と比較して最大22%の軽量化を実現し、55gまで軽くなっています。
あわせて視認しやすいアライメントマークが追加され、クリートの取り付け・再調整時にライダー好みのポジションを正確に再現しやすくなりました。
ロードペダル:DURA-ACE PD-R9300 / ULTEGRA PD-R8200
DURA-ACE PD-R9300

SPD-SLR対応モデルとして、シマノペダルの最上位に位置する最も先進的なロードレーシングペダルです。
超ワイドプラットフォームによる卓越した安定性と、低スタックハイトによる効率の最大化を両立。
一体型ステンレススチールコンタクトプレートによってエンゲージメント性能とインターフェース剛性を高め、アクスル部にはワイドベアリングを採用して荷重をより均等に分散します。
- 後述のULTEGRA PD-R8200と比較して剛性が11%向上
- PD-R8200と比較して回転抵抗を53%低減
- インジェクションカーボンコンポジットボディ、エクストラワイドプラットフォーム
- シームレスにシューズとペダルのステップインを実現する新インターフェース
ULTEGRA PD-R8200

トレーニング・レース・長時間のライドでレーシングレベルのパフォーマンスを求めるライダー向けに、DURA-ACEと同じSPD-SLRプラットフォームを提供するモデルです。
軽量なカーボンボディとステンレススチールコンタクトプレートの組み合わせで、優れた剛性と効率的なパワー伝達を実現しつつ、DURA-ACEモデルと同様の直感的なエンゲージメント特性を備えています。
価格表(ペダル)
| モデル | タイプ | 希望小売価格(税込) |
|---|---|---|
| DURA-ACE PD-R9300 | ノーマルタイプ | 41,787円 |
| ロングタイプ(+4mm軸) | 42,264円 | |
| ULTEGRA PD-R8200 | ノーマルタイプ | 26,131円 |
| ロングタイプ(+4mm軸) | 26,381円 |
参考:現行DURA-ACE PD-R9100(SPD-SL)の海外公表スペック
スタックハイト 14.6mm/重量 約228〜234g(ペア、クリート別)。今回のSPD-SLRシステムはこの現行モデルから「スタックハイト-2.3mm」の刷新となります。なお、新型PD-R9300・PD-R8200の重量については、日本では未公表です。
新型クリート:CL-SL100 / CL-SL110 / CL-SL120 / CL-SL130
SPD-SLRは1つのペダルプラットフォームに対して4種類のクリートを用意し、ライダーのライドスタイルや好みに合わせて選べるようにしています。

| 型番 | カラー | フロート | 特徴 | 価格(税込) |
|---|---|---|---|---|
| CL-SL100 | レッド | 0°(固定式) | 最もダイレクトなパワー伝達と完全固定のフィーリングを求めるライダー向け | 2,859円 |
| CL-SL110 | イエロー | 6°(±3°) | 高い快適性と関節への負担軽減。最も幅広いライダー層に対応 | 2,859円 |
| CL-SL120 | ブルー | 2°(±1°) | 高い安定性を持つペダリングプラットフォームを維持。効率と限定的な動きのバランス重視 | 2,859円 |
| CL-SL130 | グレー | 6°(±3°) | クリート自体の前後調整範囲が広く、調整幅の少ないシューズでもSPD-SLRペダルを使用可能。ただしSPD-SLRによるスタックハイト低減・軽量化の対象外 | 2,923円 |
CL-SL130(グレー)を除くSPD-SLRクリートは左右方向の調整範囲を備えていますが、前後方向の調整範囲はシューズ側の仕様に依存します。調整幅の少ないシューズを使う場合は、クリート側の調整範囲が広いCL-SL130(グレー)を選ぶとよいとされています。
【重要】互換性についての注意点

SPD-SLRは、既存のSPD-SLクリート・ペダルとの互換性がありません。
新型のDURA-ACE PD-R9300/ULTEGRA PD-R8200は、SPD-SLRクリート(CL-SL100/110/120/130)専用設計。従来のSPD-SLクリート(SM-SH10/11/12など)は使用できません。逆に、現行のPD-R7000/PD-R550/PD-RS500などSPD-SL規格のペダルには、新型SPD-SLRクリートを組み合わせることはできません。
一方で、SPD-SLRは既存のロードシューズ(3穴タイプ)そのものとは互換性があります。つまりシューズを買い替えなくても新型クリートの取り付け自体は可能ですが、性能を最大限に引き出すには、SPD-SLR対応シューズと専用ペダル・クリートの組み合わせが推奨されています。
買い替えを検討する際は、「ペダルとクリートはセットで刷新する」「シューズは現行品のままでも新型クリートの取り付けは可能」という点を押さえておくと失敗がありません。特に、ホイールバイクやセカンドバイクでペダルだけ使い回したい場合や、チームメイト間で機材を融通する場合(今回のファンデルポール選手のケースのように)は要注意です。
価格・発売情報まとめ
| カテゴリ | 製品名 | 希望小売価格(税込) |
|---|---|---|
| ペダル | DURA-ACE PD-R9300(ノーマル) | 41,787円 |
| ペダル | DURA-ACE PD-R9300(ロング +4mm軸) | 42,264円 |
| ペダル | ULTEGRA PD-R8200(ノーマル) | 26,131円 |
| ペダル | ULTEGRA PD-R8200(ロング +4mm軸) | 26,381円 |
| シューズ | S-PHYRE SH-RC910 | 69,300円 |
| シューズ | SH-RC810 | 52,800円 |
| クリート | CL-SL100(レッド) | 2,859円 |
| クリート | CL-SL110(イエロー) | 2,859円 |
| クリート | CL-SL120(ブルー) | 2,859円 |
| クリート | CL-SL130(グレー) | 2,923円 |
※価格・仕様はプレスリリース記載時点(2026年9月17日)のものです。今後変更となる可能性があります。
まとめ
今回のSPD-SLRは、単に新型ペダルが1つ追加されたというだけでなく、シューズ・ペダル・クリートという「足元の3点セット」を丸ごと刷新する、シマノとしても久しぶりの大型アップデートです。
スタックハイトの低減やクリートの軽量化といった数値上の進化はもちろんですが、海外では発表の1年以上前から商標出願やレース中のトラブル、直前のリーク画像などを通じて少しずつ情報が漏れ伝わっており、今回でようやく全貌が明らかになった形です。
既存のSPD-SLとは互換性がない一方、シューズ自体は現行品を使い続けられます。
ご検討くださいませ。

