何よりも“速さ”を求めるバイクが、さらに進化
2015年の第5世代と2018年の第6世代として登場したMadoneにはIsoSpeedが搭載され、それまで速さこそ全てだったレースバイクに“快適性”が加わった。
2021年は、フレーム素材をOCLV800へとアップグレードし、軽量なAeolusRSLホイールの登場で、“軽さ”が劇的に向上しました。
そして、2022年7月。
Madoneはフルモデルチェンジを遂げ、大きく変わりました。
まるで未来からタイムスリップしてきたかのような、心高ぶるフレームデザイン。
見た目だけでなく、第5世代以来搭載していたIsoSpeedも新たな“IsoFlow”へと進化しています。
トレックが誇るTheUltimateRaceBike（究極のレースバイク）Madoneの第7章が始まる。
開発ストーリー
速く、軽く
第6世代のMadoneから、継続使用していたトレック・セガフレードチームからの要望は、
“さらに速く、そして軽く”
という声だった。
トレックは、軽量で強度の高いOCLV800カーボンとアワーレコードを樹立した世界最速のTTバイクの開発で用いた風洞実験で、乗り心地を維持しながら、空力性の向上と軽量化へと導く、新たなIsoFlowと一体型ハンドルバーを採用。
結果、新型MadoneSLRの重量は300g軽くなり、空力においては19Wのパワーが節約（第6世代のMadoneで時速45キロ走行時と比較）され、1時間あたり60秒短縮*する新次元の速さを手に入れた。
OCLV800カーボン
今回のフレーム開発を語る上で欠かせないのが、OCLV800カーボンの存在。
OCLV700に比べて強度が30％高まったOCLV800は、軽く空力に優れたデザインが可能となった。
チームが求める“より速く、軽く”をOCLV800で実現するため、トレックはフレームデザインの開発を進めた。
世界最速へと導いた風洞実験
2022年5月、エレン・ファン・ダイクがTTバイク“スピードコンセプト”で世界新記録となるアワーレコードを樹立。
世界一の空力性能であることが名実ともに証明された。
今回のMadoneの開発においても、スピードコンセプトと同様に、ライダーが乗車しボトルが装着していることを想定し、フレーム設計に挑んだ。
空力に影響するあらゆる要素を取り入れたことで実際の状況を忠実に再現し、速さを追求した。
ISOFLOW TECHNOLOGY
新型Madoneを見て、まず注目するのが、シートチューブ部に設けられた新たなIsoFlowテクノロジー。
この特徴的な空洞は、前作と比較し空気抵抗となる気流の渦を軽減し、空気の流れ、すなわちflow（フロー）が乱れることなく空力性を高める。
新たな一体型ハンドルバー
バイクとライダーは前進するため、空力が最も影響を受けるのは、気流が最初に当たる正面。
新型のハンドルバーは、シームレスな仕上がりで、高いエアロダイナミクスを発揮し、重量も削減。
また、ブラケット幅が3cm狭くなっているため、ライダーポジションが抵抗を受けにくくになり、エアロ性能がさらに高まる。
補足情報
■新型ハンドルバー／コックピット
・新型Madone専用
・DHバー非対応
・31.8径のステム互換性あり
・サイズはドロップの幅が基準
例）42cmのモデルは、ドロップ幅が42cm,ブラケット幅が39cm
■H1.5フィット
■最大タイヤクリアランス28c
■電動コンポ専用フレーム
旧モデルとのフレームの変更点は？
新型MadoneSLRのために開発された、いくつかの重要な新機能があります。
カムテイル形状-まったく新しいエアロチューブ形状
•IsoFlow-よりスムーズで快適な乗り心地を実現し、空力性能を向上させ、フレーム重量を削減する新しいシートチューブ技術
•シートポストクランプとバー/ステムカバー-バーとステムカバーに異なるオプションを新たに追加
•バー形状とコクピット-新しい形状を採用し、特に人間工学と空力性能を向上させるドロップ形状を採用
IsoFlowは調整できる？
いいえ。IsoFlowはすべてのフレームサイズにおいて、空力性能、重量、快適性のバランスを取れるようチューニングされています。
最大タイヤサイズは？
トレックの標準的な28cのタイヤまで装着できます。
機械式ドライブトレインと互換性はある？
このMadoneSLRは、電動ドライブトレイン（ShimanoDi2、SRAMeTapAXSなど）のみに対応しています。
リアブレーキのマウントと最大ローターサイズは？
リアは140のフラットマウント、最大ローターサイズは160mmです。
フロントブレーキのマウントと最大ローターサイズは？
フラットマウント、最大ローターサイズは160mmです。
前後のハブ幅は？
142mm(x12mm)、100mm(x12mm)です。
ボトムブラケットの種類は？
T47ボトムブラケットです。
30mmスピンドルのクランクに対応する？
はい。ただし、対応するT47ボトムブラケットについては、クランクメーカーの互換性をご確認ください。
チューブレス化できる？その際に必要なパーツは？
ホイールはチューブレス対応ですが、通常のチューブとチューブレス非対応のタイヤとリムストリップが標準で装備されます。チューブレス化するには、シーラント、チューブレスレディタイヤ、リムストリップ、バルブステムが追加で必要です。
アクセサリーマウントはある？
はい、次の互換性のある新型アクセサリーマウントを用意しました。MadoneSLRSeatpostLightClip（モデル#5291256）は別売り、MadoneSLR1xFrontBlendrMount（モデル#5290178）はバイクに付属し、別売りでも購入可能です。
ジオメトリーについて教えて。
レース仕様のH1.5ジオメトリーです。
新しいバー/ステムはどこが変わった？
浅めのリーチとフレアを採用して人体により適した構造になり、空力性能を高めます。フィットに関して、重要な項目は次の通りです。
•リーチ:80mm
•ドロップ:124mm
例：42x100mmのバー/ステムで考えます。左右の中心感距離はドロップ部で42cm、ブラケット–レバーを装着する部位–で39cmです。
バー/ステムをサイズアップさせるべき？
いいえ。ブラケットの左右幅は3cm狭まっていますが、40cmのバーを通常お使いなら、40cmのバー/ステムをお使いいただくのが最も体に適した高い空力性能を体感できます。
新しいバー/ステムはエアロエクステンションと互換性がある？
いいえ。
適合するステムは何？
新型MadoneSLRバー/ステム、31.8mm径の標準ステムまたはバー/ステム、RCSProStemに対応しており、それぞれに別々のベアリングカバーが必要です。
フレームサイズとシートポストごとの最高および最低シート高は？
バイクの製品ページにあるジオメトリー表をご覧ください。
フレームに内蔵ストレージはある？
いいえ。細いダウンチューブの形状は、空力性能のために最適化されています。
各サイズのフレームに付属するシートポストのサイズは？
47-54サイズにはショートシートポストが、56-62サイズにはトールシートポストが付属します。すべての純正シートポストは、0mmオフセットです。
シートポストは調整できる？
はい。シートポストウェッジアセンブリーを裏返すことで、1本のシートポストでシート高をより広範囲で調整できます。
シートポストはどのように交換する？
シートポストのボルトを緩めてシートポストを取り外し、新しいシートポストに交換してから、ボルトを指定トルク値で締めます。
シートポストはフレームと同じ色？
はい。各シートポストは、フレームのペイントに合わせて塗装されています。
各サイズに付属するステムとバーのサイズは？
47：38x80mm、50と52：40x90mm、54：42x90mm、56～58：42x100mm、60～62：44x110mmです。
フレームセットのみを購入した場合、どのバー/ステムとシートポストが付属する？
フレームセットには、どちらも付属しません。
MadoneSLRはProjectOneで選べる？
はい。
DuoTrapには対応する？
いいえ。
空力性能のデータは他にもある？
開発白書はこちらでご覧いただけます:https://blog.trekbikes.com/en/2022/06/30/designing-for-speed/
特殊な修理スタンドは必要？
スプリントスタイルのスタンドの利用を推奨します。もし、伝統的な挟むタイプのスタンドをご利用いただく場合、ボントレガーユニバーサル修理スタンドアダプターと、Madoneのインサートをご利用ください。